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野山で出会うかもしれない自然の脅威④〜ダニ

  • 執筆者の写真: 真弓 依藤
    真弓 依藤
  • 2021年8月12日
  • 読了時間: 3分

ダニとひと口に言っても日本だけで1800種もいる(!)そのほとんどは無害。


ここ数年、時々新聞をにぎわせる「重症熱性血小板減少症候群(SFTS)」という病気を媒介するのは吸血性のマダニ。

犬を飼っている人なら一度くらいは血を吸って小豆大に膨れ上がったマダニを見たことがあるかもしれない。


吸血していない時は直径数ミリでぺったんこなのでまず目に留まらない。

そこらへんの草の葉などで待機していて餌となる動物が通るとくっつき血を吸う。


こう書くと簡単だが、まずマダニは目を持たない。前脚の先端にあるハラー器官という特別な器官で炭酸ガスや匂い、アンモニア、熱などを感知して獲物の接近を知る、そして運良くくっつけたら吸血に適した所を探して歩き回る。

これまた特殊な足先の形をしているため気付かないそうだ。


皮膚の柔らかい所にたどり着いたダニは唾液で皮膚を溶かしながら2本の鋏角(キョウカク)で皮膚を切り開き、口下片(コウカヘン)を刺し込み吸血するのだが、唾液と共にセメント物質を分泌して自分の身体を固定し、血液凝固阻止物質、血管拡張物質、血管新生抑制物質そして麻酔物質などを同時に分泌する。


なんだか精巧な機械について説明してるような気分になってきた。


そして皮膚の下に一旦血溜まりを作りそこから数日〜10日かけて吸血するそうだ。


吸い上げた血はマダニの栄養になるわけだが、驚くことに血液中の水分や塩分などは必要ないので吐き戻しているらしい。


満腹になったマダニは今度は身体を固定していたセメント物質を溶かす成分を分泌して最終的にポロリと落ちていく。


いやもう、あの草の種みたいな小さな身体になんともすごい仕組みが備わっているではないか!


さて、問題の感染症だがここ何年か特に問題視されている重症熱性血小板減少症候群(SFTS)は6日〜2週間の潜伏期間の後原因不明の発熱、嘔吐、下痢、腹痛、頭痛、咳、下血、けいれんなどを発症し重症化、死亡もあり得るという恐ろしい病気


しかし、全てのマダニが病原体を持っているわけではなく、万一病原体を持っているダニに咬まれたからと言って必ず発症するわけでもないという。そこはマダニ個体が持っている病原体の数や咬まれた人間の免疫力でも差が出るらしい。


そうなるとやはり大切なのは予防で、草むらなどに入る場合は、ダニも防げる虫除けを使用することや長袖長ズボン帽子の着用、また作業後は着替えたり念入りにはたく、といったことを習慣づけることが大切だろう。

入浴時も脇の下や足の付け根など皮膚の柔らかいところを触って手に違和感を覚えるものが付いていないかチェックするのが良い。

吸血されるまでなら簡単に流せるので身体を念入りに洗うのも効果的。


万一取り付いているダニを発見した場合はセメント物質で身体を固定しているのだから簡単に取れるわけがないし、無理矢理取ろうとすると口だけ残ってしまったり、病原体を押し込んでしまう恐れもあるので、皮膚科を受診して局所麻酔を打つことになるが外科処置で除去してもらうのが最良だろう。



 
 
 

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